勝手にボート部OBOG訪問 第2弾ー東京大学卒 佐藤さん

現役時にふと思う、「ボート部での経験って具体的にどんなことに役立つのだろうか」。なんとなくコミュニケーション能力や忍耐強さを思い浮かべてみる。確かにボート部での経験で身につく、もしくは更に磨きがかかる部分はあるだろう。では実際に社会人として働く先輩方に言わせると具体的にどんなときに「ボート部での経験が活きているな」と思うのか、コギカジが「勝手にボート部OBOG訪問」と称して直撃した。

ボート部で過ごした先にはどんな将来が待ち受けているのだろうか。

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【インタビュイー情報】
お名前:佐藤太紀さん
ご職業:コンサルティング会社で組織人事など
出身大学:東京大学
ボート暦:4年(元主将)

目次

  1. 1. 佐藤さんの4年間。
  2. 2. ボート部での経験で、今なお活きていることーー根性、人を見る深さ、そしてリーダーシップ。
  3. 3. 現役時代、将来に向けて考えていたこと
  4. 4. 適切な目的設定がチームを作る上での最重要課題
  5. 5. 現役選手へ。「自分と仲間に徹底的にぶつかって、いくところまでいけ」
  6. 6. インタビュー後記

1. 佐藤さんの4年間。

学びの多い4年間だったというのが一番だね。
ただ、視野が狭かった。もっと色々創意工夫できたと思うし、自分が大変だと思ってたことはちっぽけだったなと。振り返ってみると半分子供の部活をやってしまったなというのはあるけれど、その中でも全力で取り組んだし、他のところでは得られない経験や成長をすることができたと思ってるよ。
ただ、当時見えてる範囲では精一杯できたなと思うけど、振り返ったときに取り得た可能性について考えてしまうとね。そういう意味では、後悔はなくはない。
もちろんボートを選んだことの後悔は全くないよ。

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2. ボート部での経験で、今なお活きていることーー根性、人を見る深さ、そしてリーダーシップ。

活きていることーそうだな、3つくらいあるかな。
まず1個目は、単純に根性がついたことだね。
エルゴ60分、UT180分とか4000+3000+2000を乗り越えたという経験や、4年間自分たちが主体となって頑張った経験の中で培われたモノ。
仕事のシーンでいうと、入社して3年くらいは終電までやるのが当然みたいな感じだったのだけど、エルゴ2000に比べたら余裕でしょと思っていた。腰も痛くならないし乳酸もたまらないし笑。しんどさの参照点ができたという感じかな。
営業にしても製作にしても、先が見えなかったり、見えてても凄まじく山が高いみたいな不安を感じることがあるけど、どれもだいたいボートで経験したと言える。エルゴ180分って先は見えてはいるけど絶望的な長さだし。先が見えない不安でいうと、シーズン初めの東商戦に負けて、この後どうする?みたいなところだよね。

2個目は、人間を見る深さが養われたこと
学生コーチや主将をやっていた手前、部員が自分を変えようとしても変われない背景とか構造とかを考える機会が多くて。
ボートは技術や体力といった目に見える部分に目が行きがちだけど、その背景にはクルーメンバーとの関係性や信頼関係があって、それが一番大きいと思っている。エヴァでいう神経接続的な笑。クルーが一体になる感覚がフネを通じて感じ取れるんだよね。
それらが、本当のチームになるとは何か、について考える機会になった。フネが走らないときに悪者はいなくて。会社でも「問題は個じゃなくて間にある」という言葉をよく使うのだけど、これを生きた経験として自分で持つことができてる。
仕事でもチームのメンバーをエイトのシートのメタファーで考えたりするよ。こいつは整調タイプだな、強みと弱みはここで、こういうときに頑張れるんだな、という分析とかね。
一般論的にチームって5人とか6人とかはまとまりやすいんだ。8人って閾値を超えている。5, 6人だといいリーダーがいればまとまるけど8人はそうは行かない。
仕事でもファシリや講師をやることがあって、あえてチームを8人にしたりする。そこで自分ならではのチームビルディングのノウハウを伝えてるよ。そこはボートをやってたからできること。
まとめると、人を見立てる部分やチームの力学について学ぶことができたなと思ってる。

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3個目はリーダーシップが鍛えられたこと。主将をやって感じたことだけど、上に立つものほど泥臭くやらないといけないリーダーが弱みを見せなかったりガムシャラにやってないとメンバーも失敗を恐れて挑戦しない。東商戦も負け、京大戦もうまく行かず、チームとしてよくない時期が続いていて。そのことに気づいたのはインカレ直前とかだったんだけどね。
気づいてからは、これまでは抑えていた感情を出すようにしたね。例えばエルゴ2000を引いた後に皆の前で泣いたりしたこともあった。「タイキさんどうしたんだ?」みたいな感じになったこともあったけど、それを見せることで自分自身、そしてチームが変わった実感があった。リーダーに必要なのは完璧さや能力ではなくって、「自分が引っ張る」という意志と情熱を持ってそれを如何に伝播させるかというところ。精神的な柱でないといけない。それを仕事でも思い出しながらやってるね。

3. 現役時代、将来に向けて考えていたこと

まず、将来にこれが生きるって思いながらやるのは難しいよね。正直自分は考えてなかったかな。
もともと「俗世」に興味がなくて笑。大学の専攻は文化人類学でビジネスとは相反するところにいたからね。将来どうしたいというのはそういう面でもなかった。
ただボート部生活のなかでいろんな人から影響を受ける中で、方向性としてぼんやり考えることはあったな。特に二人の外国人コーチと協働してる中で気づいたことがあって。彼らはビジネスが目的じゃなく、その先に何があるかを考えることを常に大事にしていたんだよね。それは今のコンサルの仕事に繋がっているかもしれない。
そういえば、尊敬するコーチ、先輩は常にその思考を持っていた
特に直属の先輩で主将だった方は、「ボート部はなんのために存在しているか」を考え、「挑戦する勇気を世の中に届けるため」を解として活動されていたよ。
別の先輩は「自分たちの人生におけるこのボート部での生活とはなにか」を常に思考されていた。そしてその目的に対して純粋であることも大事にしていたねみんな。
自分自身こういう業界で/職種でとかはなかったけど、彼らの影響もあって、自分が情熱を燃やせる生き方をしたいなというのは考えていたな。スキルレベルでこれが将来役立つかもというのはなかったけど、これを全力やっていれば困らないだろうなという確信はあった。

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4. 適切な目的設定がチームを作る上での最重要課題

まず第一に、勝利を目標にするのはいいけど目的にしてはいけないよね。結果主義なのかプロセス主義なのか、という二元論でもないと思う。
インカレ優勝とかって、自分たちの努力成長を測るマイルストンではあるけど、本当の意味・意義は奥にある。ただそれを言い訳にして目標を下げてはいけないけどね。振り切れるほど両方とも求めろって感じかな。二者択一になりやすいところではあるけどそれも違うと思っていて。勝ちにこだわるというのは何かを捨てること、これは当然だけど、その奥にある本当に得難い物を得に行くってことが浸透してるチームは強いと思う。
そして浸透した上でチームメンバーそれぞれが自分自身で考えて主体的に動くこと。これが必要だと思う。

勝ちたい、勝たなきゃいかんと言ってる人がいたら「なんで?」って聞いてあげたいね。ビジネスでも自分たちの力を「証明する」みたいな言説があるけど、これもよくないと思っている。
自分は最後のインカレで8位だった。当然悔しかったよ。ただ、当時のコーチに「結果には満足してないだろ?それでもお前たちのベストレースだったよ」と言ってもらえたんだ。それで救われたところはあるよね。そのコーチはよく「人生は色々ある、ボートだけじゃない、ただ死ぬ気で勝ちに行け」と言っていた。本当に人間的に優れた方だったと思う。コーチにしろ、主将にしろ、そういう人間が一人でもいるといいチームになるんだろうと思うね。

5. 現役選手へ。「自分と仲間に徹底的にぶつかって、いくところまでいけ」

現役選手に伝えたいのは、「自分と仲間に徹底的にぶつかって、いくところまでいけ」ってことかな。なぜこのチームにいるのか、なぜ練習するのか、なぜ勝つのか、というのを徹底的に深めてほしい。仲間とぶつかって磨かれていく過程を通じて、自分、他人を見る目が深くなっていく。ボートは単純な動きだし、勝つっていうのも単純な目標ではあるけど、その先にどういう目的があるのか、どういう価値観で自分が生きるのかというのを考えてほしい。そして仲間と自分に向き合って、徹底的にやっていってほしい。そこに向き合いさえすれば後悔はしないと思う。

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6. インタビュー後記

筆者も、自分のボート部での経験を今の仕事にうまく接続できていない実感があり日々モヤモヤしていたが、今回佐藤さんに伺った話でとてもスッキリした。
特に、「目的をどこに置くか」の話は今の自分もそうだし、現役の選手たちにとっては非常に良い気づきになったのではないだろうか。
「勝つこと」だけを目的にしてしまったら、それが達成されなかったとき自分に残るものはほとんどないのかもしれない。
いかにその先に目的を置くか。
これから始まる新シーズンに向けて、ぜひ読者のみなさんも参考にしてほしい。
それでは、次回もお楽しみに。(N)

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