ボートの新時代到来 今治ビーチスプリントで感じた可能性

「コースタルローイング」という言葉は、今やボート界では目新しいものではなくなってきたかもしれない。2028ロス五輪での採択が見込まれる「海」でのローイング競技だ。

しかし、実際にどういうものなのかを目にしたことがある方は少ないのではないだろうか。
この度6/26-27にかけて愛媛県今治市にて開催された「Beach Rowing Sprint Games 2021 Imabari」に、コギカジ取材班が向かった。


まず感じたのは、「いつもと雰囲気が違う」ということだ。日本のフラットボートの大会は、ピリリとした緊張が会場に張り詰め、見ている側の心臓にも負担がかかる重厚な雰囲気が漂っている。しかし、瀬戸内海の島々をバックに雄大な海が広がるここ今治市鴨池海岸には、どこかフェスのようなお祭り感が満ち満ちていた。

主催者曰く「今年はコロナ禍もあり本来の雰囲気とまでは行かない」が、このビーチスプリントの大会は、出店や音楽、大会後のレクリエーションなども含めた一つのイベントという趣旨で開催されている。

種目は、男女ソロ、ダブル、そしてミックスダブルの5種類で、陸上からスタート→ボートに乗り往復約500mをブイをかいくぐりながら漕ぐ→陸上のフラッグを先に取った方が勝ち、というルールだ。船に乗り込んで漕ぎ始めるまでのスピード、蛇行の少ないコース採り、そして漕力と勝つために必要な要素が多く、見ている側もやる側もハラハラドキドキの競技である。

そしてこのルールは、実は世界選手権でも同じだ。なんと今回の今治ビーチスプリントは、9月末にポルトガルで行われる世界選手権の、日本代表の座をかけた熾烈な戦いでもあったのだ。

スタート直後(男子ソロ)

とはいえ、先ほども述べたように重苦しい雰囲気は一切なく、会場は興奮と熱気に包まれ、歓声と笑顔が弾けていた。

この雰囲気を筆者は知っている。例年アメリカのボストンで開催される”Head of the Charles”で感じたあの感覚だ。川沿いの出店でビールとスナックを買い、友人と河原に腰掛け音楽に耳を傾けながら、目の前をクルーが通れば応援の声をかけたり漕ぎの評価をしてみたり。ボートを中心とした一つのイベント、文化がそこにはあった。
(Head of the Charlesの写真はこちらから #ヘッドオブザチャールズ観戦記

日本のフラットボートの大会に、いきなりあの雰囲気を持ち込むことは急すぎるかもしれない。しかし、このようにコースタルローイングという形でボートの新たな楽しみ方が実践されることで、新たなボート文化が日本に根付いていくであろう可能性を強く感じた。

会場の様子

ちなみに、本大会では先日コギカジでも特集させていただいた元リオ五輪代表、中野紘志選手が男子ソロに出場。見事優勝し、世界選手権への切符を手にした。

とはいえ、まだまだ取り組んでいる選手が少ない競技。ニュースターの出現もあるかもしれない。

今後もコースタルローイングから目が離せない。

(取材・編集 中山)

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