勝利への航路ー2020黎明篇 #3 同志社大学 vol.2

ーvol.1からの続きです!

コ:さてさて、最近の躍進にはサポート体制の充実が要因だと仰っていましたが、どういうことなのですか?

山田:フィジカル面では外部コーチの堀田さんという方に4~5年前から来ていただいているのですが、ボートの動きにつながるような筋トレメニューを組んでもらって、パワーをつけられたのが大きな要因です。
堀田さんは近大の水泳部とかでも教えている方で、漕手のフィジカル強化のキーパーソンです。
また、漕手のケアサポートの面では、理学療法士の山岡さんという方にも今年から来て頂いています。
山岡さんにはけが人のケアや、病院の先生を紹介してもらったりして頂いてます。
また部としても、体幹やストレッチに力を入れて取り組み、怪我を減らしています。
堀田さんと山岡さんはお金を払って来てもらっているのですが、日本一になるためには大切な投資だと考えています。

コ:コーチについてはいかがですか?

山田:乗艇の指導はOBの方にお願いしているのに加えて、リギングのコーチとして海外選手のリギング担当をしているシマノの方から体格に合わせたリギング値を教えてもらっています。
リギングの側面から漕ぎを改善しようとしています。

コ:これだけコーチが充実している部はなかなか無いと思うのですが、どうしてこんなに人が揃っているのでしょうか。

山涼:基本的には監督にコーチを揃えて頂いてます。
うちの監督はローイング指導はもちろんですが、どちらかというと組織マネジメントをしてくださっている側面が大きいです。
選手とのコミュニケーションや主体性などに重きを置いてもらっています。
技術の側面に関しては、週末に艇庫に来て指導して頂きますが、LINEなど遠隔でやり取りしつつ、乗艇ビデオを見てもらい毎日フィードバックをもらっています。

画像1

コ:ここまでお話を聞いてみて、やはり組織的な総合力が高いと感じました。

山田:個人的にはここ4~5年で本当に勝てる組織になったと思っています!
監督は会社の経営をしていてお忙しいと思うのですが、各サポーター含めてここまでしてくれる方々に恵まれて本当に感謝しています!

山百:結果も出てきているし、サポート体制は充実してきていますが、次のステージに上がる課題としては、もっとコーチに対して部員一人一人が環境を主体的に利用して欲しいと思っています。
また、部員数が多いので、コミュニケーションがとりにくかったり、どっちのコーチの指示を信じればいいのかという問題に直面することも多々あります。
こうした問題を解決するために、現役が主体的に動ける仕組みや、コーチ同士のミーティングを定期的に行い、組織として一貫性のある指導ができるようにしています。

コ:具体的にはどのような工夫をしているのですか?

山百:連携できるようにグループを作り、グループ長にコーチとのやりとりを一元化して、下の人に伝えるようにしています。
また、部内アンケートを行い、目標や課題を可視化し、見つけた課題を一つ一つ解決していくようにしていたり、個人面談をしてそれぞれにどんなモチベーションでやっているのかを把握するように努めています。
部人数が多くて大変なので、体系化させて運用できるように考えています。

コ:なるほど、組織マネジメントに力を入れた結果、勝てるチームになったんですね!
最後にこの冬の時期に頑張っていることを聞かせてください。

山田:今年の冬から、練習方法をガラッと変えました。
僕たちは、未経験者の集団なので、とにかく乗艇練習をしなければいけないと考え、冬の期間もずっと乗艇練習をしていましたが、今年は考え方を変えて、朝の睡眠時間を少し長くするために朝練のスタート時間を遅くして、エルゴやランを増やしました。
去年は、乗艇にこだわってやり、フィジカルを疎かにしている部分があり、インカレで悔しい思いをした反省がありました。
昨年は技術があるから、エルゴや筋トレはいらないという発想になっていたので、今年はベースをフィジカルにおいてトレーニングに取り組み、二月以降に鍛えたパワーを乗艇に生かすという計画でいきます。


あと、冬だとモチベーションの問題があって、「寒い」「暗い」「事故が多い」という環境の中で、“果たして本当にいい練習ができているのか”と言われると、個人的には疑問に思っていて、昨年と同じことをしていても自分は強くなれないと感じていたので、新しいことを始めることに共感していただける監督さんをはじめ、部員からも理解を得られたのでこの方向性で行くことに決めました。

コ:なるほど。シーズンに入ってくると、後からフィジカル強化をしなくてはと思っても、なかなか取り戻せないですもんね。
ちなみに、瀬田の冬はどのくらい寒いんですか?

山田:基本的には5度とかで、マイナスに行くこともありますね。。
今までは普通に乗っていました。

山涼:ローロックが凍って開かないのは頻繁にあります。笑

画像2

コ:大変ですね!笑

女子部としてはこの冬にこだわりたいことはありますか?

山百:基本的には男子と同じなんですけど、コーチに言われているのは、「女子の男子化」です。
女子は、男子にくらべても、基礎体力もそうですが、上半身が弱いので、今年の冬は、「広背筋をメインに、女子をゴリゴリにする」のが目標です。笑

コ:いいですね。笑
これって、女子のなかでネガティブな意見とかあったりするんですか?
例えば、強くはなりたいけどゴリゴリになることには抵抗があるとか。

山百:私個人としてはラストシーズンということもあるので、特には気にはしていませんが、みんなで大きくなろうと決めて取り組んでいるので、特にネガティブになる人はいません。
もっと大きくならなければと考えてくれる選手ばかりですね。

コ:すごい!
マネージャーとしては、頑張る選手をもっと強く大きくなってもらうために、献立などで考えたりするんですか?

糸:前まで栄養士の方がいらっしゃったんですけど、今はいなくなってしまったんで、コーチとどんなメニューを作ればいいかを話し合いをして決めています。

山田:最近、同期の栄養担当の子と面談をしたんですけど、漕手がどうすれば体が大きくなるかを考えてやってくれていると知りました。例えば、無数のメニューがある中で、少しでもタンパク質の量を増やすためにお肉の量を増やしたり、出来るだけ消費エネルギー以上に摂取できるようにカロリー計算をしてくれてます。
選手、マネージャー、コーチ、サポーターの方々全てが揃って、今の同志社大学ボート部があると思っています。

コ:本日は貴重なお時間をありがとうございました!
同志社大学漕艇部が組織的に強くなったことで、全日本級の大会で着実に戦績を積み上げることができていると分かりました!
個人的には新歓を実際に見てみたいです!(見学したいなあ。。)笑
本当にありがとうございました!!

画像3


◾️ライター後記

“組織力”の高さが、艇速を上げているとここまで自覚的である部はなかなか無いのではないだろうか。
練習環境や経済状況を言い訳にして勝てないとしている部があるとすれば、同志社大学ボート部の成功例を参考にするべきだろう。
「どうすれば優秀な人材が入るのか」
「どうすれば部内連携が円滑になるのか」
課題は多いが、彼ら彼女らは“勝つにはどうすべきか”を考え、実行している部の1つだ。
“持続的に勝つことができる部”である同志社は今後、更に強くなる。(K)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA