勝利への航路ー2019インカレ篇#3 東京大学

ーー「東京大学漕艇部」という一つの組織。

コ:練習の雰囲気はどんな感じですか?

小:そうですね。艇上だと上下関係はほぼなく、引っ張ってくれるやつが声を出して、皆それに乗っていくという感じですね。技術的な意見も艇上でフィードバックし合っています。陸上だと例えばウェイトトレーニングとかは音楽をかけて、気分を高めながら行ってます。

安:好きな音楽がかかるとめちゃくちゃ頑張るやつとかもいますね笑

小:新歓PVの曲とかはよく聴いてます。自分が入部した時の曲、新世界(by Acidman)は今でも聴いてます。

コ:Coxは艇上ではどんな感じですか?

安:選手の意見を聞いて、それを踏まえてフィードバックするという感じですね。

小:うちのCoxはかなり意見を聞いてくれた上で主体的にフィードバックをくれます。それにより艇上で色々すり合わせることが可能になってます。僕は高校からボート部だったんですが、高校の時はCoxより選手が意見を通せるような環境だったので、、今はとてもいい関係を築けていると思います。うちは互いにリスペクトを持って練習に取り組むことができてます。

コ:他の大学だと、「選手が上、Coxが下」みたいなスキームができてしまってるところもあると聞きます。互いにリスペクトがある関係、とっても良いですね。

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コ:イメージビデオとかはありますか?

小:ボートの動きのパーツによって分けています。キャッチはどこどこのクルー、フィニッシュはどこどこのクルーというように。それを組み合わせてイメージを作っています。

安:今のコーチがボートの動きのサイクルを細かく分けて指導してくださる方で、それぞれで理想とするものを探していたらそうなったんですよね。

小:今年は全クルー、コーチが掲げる漕ぎを絶対として拠り所にしようとしてきました。それにより「東大らしい漕ぎ」を部全体として作り上げようとしています。

コ:その流れで、コーチとはどのような関わり方をされてるんですか?

小:ヘッドコーチは基本的に週1回で合宿所に来てくれて、そこで直接指導してもらってます。普段はチャットツールを用いて、練習へのフィードバックをもらってますね。
社会人コーチの方ももう一人いて、その方も週1で艇庫にきて、コーチングしてもらってます。
建設的に色々と議論して、論破してくれるときはしてくれて、受け入れる時は受け入れてくれるという感じです。
あと、先ほど話した野崎部長とヘッドコーチは同期で、そこで技術的/学術的なフィードバックをもらった上でコーチングしてくれることもありますね。

コ:マネージャーとの関わり方はどうですか?

小:もともと代によっては関係性がよくない時もあったようですが、近年は改善してきていると思います。特に、僕らの代は人数が少なかったこともあって、そこは真剣に取り組んだ部分ではある。例えば雑用の負担の配分を考えたりですね。モーター出しであったり、片付けの手伝いとかをするようにもなりました。

安:あとは、マネージャーも自ら選手mtgに出てくれるようになったりもしましたね。選手のこともよく知ろうとしてくれてるんです。お互い歩み寄りができています

小:僕らの努力の成果かは分からないが、後輩たちも本当にいい関係性を築けていると思います。

笹野(飛び入りで参加してくれた3年生Cox、以下、笹):ただCoxとマネの仕事の割り振りに関しては難しい部分もあります。そこはこれからの僕らの課題ですね。

安:あと、東大では東大生マネとは別に、主にご飯作りや栄養サポートのために女子マネが他大からきてくれているんですが、彼女たちのエンゲージメントを高めるために女子マネとの試乗会もやったりしています。そこはヘッドコーチも重視していて。ローイングの基本を教えてる感じです。

ーー古豪復活へ。

コ:今期の目標を教えてください。

小:インカレエイトで最終日進出です。

コ:調子はどうですか?

安:今ぐんぐん上がってきてます。

小:お盆前から避暑合宿に出かけるんですよ。そこで死ぬほど追い込む予定です。(注:取材日8月初旬)

コ:ハイレートの練習が多くなる?

小:4月末の東商戦のあと、技術的なところにフォーカスした練習を重ね、今インカレに向けてレートを上げてきている感じです。

安:時期ごとに完成させるレートを設定して、それに向かって取り組むという方針を取っています。

コ:なるほど。レート理論についてはぜひいろんな大学の意見を聞いてみたいですね。
続けて質問です。今期のスローガンはありますか?

小:僕らの代は明確に定めた言葉はないですね。目標として、何らかの爪痕を残す、後輩に何かを遺す、というところは決めてるんですが。
下の代は独自に言葉を設定しているそうです。

笹:僕の代は「東大復興の先駆けに」です。
東商戦も連敗が続いていたり勝てていない現状があります。そこを打破し、古豪の名にふさわしい東大漕艇部を取り戻すきっかけを作りたいです。

小:明確に言葉を設定すること自体に意味があるかどうか、結構悩んだんですが、うちの代としては議論の上定めなくてもいいという結論に至って。

コ:そこまで深く議論されてるんですね、、確かに部で目指す方針が浸透してるならあえて設定する必要もないかもしれないですもんね。

コ:東大の武器は?

小:漕ぎに関しては今作り込んでいるところなので、まだ武器とまでは言えないですが、インカレまでには形にします。
あと、OBからの支援や設備の面ではやはり恵まれていると思いますね。

コ:そこも大事な部分ですよね。

小:あとは色んな人間がいること。特にみんなそれなりに頭がいいので、我を持ちつつ、理論や論理を持ってあらゆる話をすることができている。それぞれが勉強して建設的に意見をぶつけあうことができていたりもしますね。

コ:武器は何?という質問一つをとっても色んな切り口で話が出てくるの、さすがです。

小:ありがとうございます笑
ただ、武器って言ってしまえるのは慢心にも繋がると思っていて。なのでどれも磨いている途中という考え方も持ち合わせています。

コ:それでは最後に一言、よろしくお願いします。

小:これを読んでくれてる高校生の諸君、ぜひ東大漕艇部へ。

安:ボートという競技は僕の価値観を大きく変えてくれた。出会えてよかったです。

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編集後記

こう言ってはなんですが、「さすが東大」と思わされる部分が多々ありました。

学問とボートの融合、コーチとの論理的な議論、選手の言語化能力、全てに通底する合理性

そして、それもさることながら彼らの語る言葉や姿勢から、ボートへ掛ける想い、愛情、熱量もしっかりと感じ取ることができました。

古豪復活の狼煙はもう上がっています。

明日に迫ったインカレ、ぜひ東京大学の熱い漕ぎにご注目ください!

それでは勝利への航路インカレ篇第3弾はこれにて。

東京大学の皆さん、ご協力ありがとうございました!(N)

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